呂色屋さん

輪島塗の最終工程「呂色上げ」をする職人さんです。
耳慣れないかもしれませんが、一番最後に漆器に艶を与え鏡面仕上げにする作業です。
またそのほか貝や梨地、乾漆粉を蒔いて研ぎ仕上げる蒔き物を主にする呂色屋さんもいます。
研ぎ出し蒔絵を施す場合、上塗りした塗り物を一度呂色屋さんに炭で研ぎ、塗りむらをなくしてもらってから蒔絵に取りかかります。この行程を「蒔絵下」と言います。
蒔絵師自らがする場合もありますが、塗師屋さん依頼の仕事の場合ほとんどが呂色屋さんが蒔絵下にします。

　写真の彼は自分が独立してからおつきあいをさせていただいている職人さんで、細かな対応にも応じてくれる腕の良い呂色職人さんです。
呂色と言っても仕上がりは人によりますから信頼のおける職人さんを見つけるのは難しいんです。

輪島塗松竹梅鶴蒔絵簪

　輪島塗仕立ての蒔絵簪です。
「仕立て」とあえて書いたのは、市販品のほとんどの物は布着せがされていない物が多いので、それらと区別する為です。
ちゃんとした輪島塗の物を手に入れたい時は信頼ある漆器店にそのあたりのことをしっかり確認して購入することをお勧めします。
今回、個人のお客様から輪島塗の簪に蒔絵をつけるご注文でしたので生地から作らせていただきました。
　着られるお着物の柄や色などを聞かせていただき図案を作りました。
木地は耐久性を考慮し微妙に厚みを持たせた特注です。布着せを両面にしたことで更にし肉厚のぽってりとしたぬくもりを感じる形になっています。
　末永く愛用していただければと思います。

蒔絵道具

日切りの仕事に追われているとなかなかブログを書く余裕もないのですが、久々に蒔絵で使う道具の紹介です。
「これなーんだ。」
正解は秤です。百分の一グラムまで正確に計測できる秤です。何に使うかと言うと。
そうです。使った金粉の量を算出するために使います。金粉価格高騰の折、やはりしっかり把握しておかないと赤字仕事ばかりなってしまいますからね(--;)

つけ爪に蒔絵

少し前に仕上げて納品した金属ベースの蒔絵つけ爪ですが、一つだけ、依頼者の方が満足されなかった物がありまして、再度書き直しました。
最初の依頼はバックを金粉の蒔きぼかしにしてその上に辻が花をつけてほしいとことだったのですが、その金地を黒塗りに戻してほしいとのことでした。
やはり実際に身につける方が納得していただくのが一番ですので金地を黒漆で塗りつぶし再度蒔絵を描きました。
　今度は納得していただけると良いのですが。
ちなみにこのつけ爪は身につける方の爪の形状に合わせて金属加工した物です。
つけ爪は今では100円ショップでも手に入りますが、この方が望まれたのはそういった安価で若い方向きの物ではなく、飽きがこなくてある程度年齢を重ねた女性が身につけてもおかしくない何度もお気に入りのファッションアイテムとして使用できる素材の物でした。
そこで自分の描く蒔絵に目をつけられたそうです。

蒔絵文字盤

仕事を引き受けて一番悩むのが図案と仕事の組み立てです。
特注の蒔絵を依頼される方のほとんどは、ご自身で何らかのイメージを持たれている場合がほとんどです。
そのイメージをこちらがくみ取り蒔絵で表現する訳ですが蒔絵は手法、技法ともに多種多様です。
クライアントに満足していただける物を制作するにはそれらを考慮し自分の中にもイメージを固めて仕事をさせていただいています。
プロとしてベストを尽くすことは当たり前のことで、肝心なのは満足し、感動を与えられるかです。

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「竹笹」「銀河」
「紅白梅」